映画と音楽39-肖像画

昨日の絵画つながりで肖像画がキーとなる映画のお話。

「ローラ」という曲はジョージ・シアリングの演奏で覚えた。
ワンコーラスの中で転調して行くのが音楽的にも面白く、若手時分に演奏した。
お洒落で甘い雰囲気もあるこの曲が、映画「ローラ殺人事件」(1944)のテーマと知って意外。原題は映画も曲も"Laura"。

モノクロ映画、細かいところは覚えていないので大筋のみ。
ローラという女性が自宅で射殺される事件が起き、捜査担当の刑事が被害者の美しい肖像画に不思議とひかれる。
容疑者一人また一人と捜査を進める中で、驚くべき展開に・・・ネタバレは書かないが、どんでん返しのサスペンスだった。

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もうひとつ、映画「めぐり逢い」(1957)"An Afair To Remember"。テーマ曲(映画と同名)は以前よく演奏した。
映画では歌手&俳優ヴィック・ダモンが歌っていたが出演はしておらず、主演はケリー・グラントとデボラ・カー。

船上で知り合った男女が再会を誓うが、女性は待ち合わせに向かうの直前に交通事故に。
男性は画家で会えなかった事情も分からず時が過ぎ、女性の面影を描いた肖像画がきっかけとなって巡り会える。


映画半ば、男性が小さな島に暮らす祖母を訪ねるとピアノでポロンポロンとテーマ曲を弾く、「あのシーンが忘れられないんです」とリクエストされるお客様がいらした。
こういう演奏は私も幸せな瞬間、その方ばかりでなく映画を知らないお客様にもそれが伝わるのは生ライブの醍醐味。
オンラインでも伝わるものはあるが、人と人との直接交流が早く戻ってほしい。

映画と音楽38-赤い風車

昭和において、電話の声だけで知る人と実際会って想像と違ったことはよくあった。
映画音楽も同じで、曲に馴染んだ後「こういう映画だったのか」は多い。

パーシーフェイス・オーケストラで覚えた「ムーランルージュの歌」が好きで、時折演奏した。ジャズというのでない、往年のホテルラウンジ、或いはFM番組「ジェットストリーム」に相応しい。

何年も経って観た映画「赤い風車」(1952)"Moulin Rouge"が、画家ロートレックの伝記とは思いもよらなかった。

 

19世紀後半、フランス貴族の家に生まれるが子供時代に事故で足の発育が止まり、絵を描くことに没頭、父親との確執もあってパリに出て画家となる。
大きな赤い風車が看板のキャバレー・ムーランルージュが大人気で、ロートレックは連夜通い、ショーの踊り子、歌手などを描く。
この中で歌われるのが「ムーランルージュの歌」"The Song From Moulin Rouge"。

店のポスターを斬新なデザインで描き、単なる宣伝ビラをアート作品にしたと評価される。
障害者差別、失恋、父との確執などからアルコール依存症となり36歳で早世。
フレンチカンカンなどショー場面がたっぷりで、絵画作品も多く紹介されるが、浮世絵の影響が描かれてないのは日本人としてちと残念だった。

 

画家の伝記映画は、描かれた風景や人物が映像化される面白さがある。

中学時代にゴッホが好きになって伝記本を読み、テレビで映画「炎の人ゴッホ」(1956)を観た。
カーク・ダグラス主演、糸杉や跳ね橋、麦畑、アンソニー・クインが演じたゴーギャンもそっくりで、いちいち「あ、これ!」と声を挙げながら。

 

映画と音楽37-ビートルズ解散

飲食店が一斉に夜8時までの営業となって、昨日、銀座「俺のイタリアンJAZZ」「俺のやきとり銀座9丁目店」、満席ではないにしろ若いお客様がまずまずの入り。

ワンステージのみ、あっと言う間のソロステージ終えて帰路の中央線も空いていた。
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映画と音楽37-ビートルズ解散
小学校5、6年頃、兄のガットギターを手探りでいじってベンチャーズビートルズで聴き覚えた単純なフレーズをマネ事。
ある時、兄の親友Sさんが家に来た時にそのマネ事を聴いて「あれ、和英くん、ブルースコードどこで覚えたの?」、私「え?」。

ビートルズのカバー"Roll Over Beethoven","Long Tall Sally"、ベンチャーズ"Buldog"."Wipe Out"などは全て3つのコードのみで構成された12小節を繰り返す「ブルース形式」、その言葉をこの時初めて知った。
それ以降Sさんはボサノバ、ジャズなどのレコードを持参しては私に「これ聴いてみて」と貸してくれるようになった。

 

兄が高校卒業し東京に行くと、置いて行ったギターでコードを覚え、ベンチャーズビートルズ、ボサノバ、ラテン、フォーク、カントリー、日本の流行歌・・・耳に入る音楽を全てマネることが面白く、クラシックピアノをやめてしまった。
兄のビートルズ・アルバムは「ヘルプ」まで、その後私はフォローせずシングル盤何枚か、解散の噂に衝撃を受けたのが中3になる頃だった。
これは大変なことになったと「アビーロード」と「レット・イット・ビー」のアルバムを友人と一枚づつ買って互いに交換、新作映画公開を知った。

 

映画「レット・イット・ビー」(1970)は、それまでのアイドル作品でなくドキュメントで、リハーサル、レコーディング、レコード会社屋上のライブのシーン、抑えきれない熱い思いが沸騰、友人とバンドを始めた。
高校時代ギターからベースに転向し各所で演奏活動、わずかながらギャラも。
ラテン+ロック「サンタナ」が好きになる頃からジャズにのめり込み、「この音楽をピアノで弾きたい」衝動抑えきれず東京へ。

今に至る演奏家人生、きっかけのひとこま。

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映画と音楽36-ビートルズ映画「ヘルプ!」

本日は銀座俺のイタリアンJAZZ」「俺のやきとり銀座9丁目店ソロ出演。

緊急事態宣言の午後8時までの営業でワンステージのみ。

全くなくなるより腕と感覚の錆止めに感謝しつつ、お客様の来店や如何に。

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映画と音楽36-ビートルズ映画「ヘルプ!」

1965年、ビートルズ映画二作目「ヘルプ!四人はアイドル」"Help!"公開。
アルバムで楽曲に馴染んでから映画を見るので、筋は何でも良くて演奏シーンばかりに集中したように思うが、初回作と違ってこちらはストーリーも分かり易かった。
ドラマーのリンゴ・スターが指にはめた指輪が抜けなくなる、それが実はある宗教儀式の生贄にかかせないもので、4人は訳も分からず追われるはめに。
アルプス雪山でのカーリングでストーンが爆弾仕掛けのシーン、今はメジャーな競技だが当時知られておらず、外国には変わったゲームがあるんだなあだった。

 

兄は高校生で同級3人がよく我が家に遊びに来ていて、中でもSさんの実家は喫茶店で洋楽レコードが多く、影響を受けた兄もナット・キング・コールフランク・シナトラなどのレコードを聴くようになった。
母もハイカラ趣味も手伝って、クラシック、ポピュラー、ラテン、ビートルズ、祖母の趣味で長唄、小唄、都都逸と幅広い音楽が増えて行った。
中に「ザ・ベンチャーズ」のシングル盤があって私は夢中になった。

 

1965年にビートルズ来日公演の生中継をモノクロテレビで見た。

日本海側に海外アーティストが来ることがなかった時代、遠い東京の出来事は現実感がなかった。
ところがその翌年、ベンチャーズの福井公演を知って突然現実的になり、しかもご近所から福引景品のチケットを譲ってもらいコンサート生体験、小5の興奮は今も忘れられない。

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Sさんは家に来る度に様々なタイプの洋楽レコードを持参し趣味を分かち合おうとしたが、兄はボサノバ、ジャズに至るとどうも、ならばピアノを習っている弟はどうかと思ったらしい。
続く。

映画と音楽35-ビートルズ初の映画

ビートルズ映画のお話を3日間。
幼稚園が終わる頃に我が家にレコードプレーヤーが登場し、歌謡曲やクラシックのレコードが少しずつ増えて行った。
小学校1年に上がった1962年、中学生の兄がビートルズのデビューアルバムを買い、これが急激なブームとなり、小学生でさえ「アワナホージョーヘー」("I Wanna Hold Your Hand"のこと)と口ずさむほどだった。

 

しばらくして「セカンドアルバム」、その他シングル盤も増えて行った。
小学校2~3年生頃、兄とハイカラ趣味の母が私の髪型をビートルズ風にしないかと言いパーマ屋にいくようになった。
昭和30年代の田舎町(福井県あわら市)では珍しかったと思うが、いじめられた記憶がないのは温泉町の気風かと感謝している。

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ビートルズ初の映画「ビートルズがやって来るヤア!ヤア!ヤア!」(1964)"A Hard Days Night"公開、当時は大都市より3か月ほど遅れての地方公開で、メディア情報から更に待つのが普通だった。

高校生になっていた兄に連れられて電車に乗り、福井市の映画館へ。
モノクロ作品で冒頭からいきなり"A Hard Days Night"のイントロがジャーン、4人がファンに追いかけられるシーンにひきつけられた。

大人になって再び観たが筋があるのかないのかシュールな内容だが、写真でしか知らないビートルズが動いてしゃべって演奏して歌うだけで興奮くぎづけ。
映画館を出た時、映像と音楽と自分の髪型が嬉しかったことを鮮明に覚えている。
明日に続く。

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1月ー2月スケジュール

1月ー2月 スケジュール 2021年

1月

10日 俺のイタリアンJAZZ   /   俺のやきとり銀座9丁目店

 

16土 俺のフレンチ・イタリアン青山

 

26火 スイング 銀座

 

30土 俺のイタリアンJAZZ   /   俺のやきとり銀座9丁目店 

 

緊急事態宣言に伴い出演時間など変更されておりますので、

お越しの際には各店HPでご確認ください。

 

2月

7日 俺のフレンチ横浜

 

11木 俺のやきとり銀座9丁目店

 

13土 俺のフレンチ横浜

 

23火 俺のフレンチ・イタリアン青山 

 

24水 スイング 銀座

 

映画と音楽34ーロックンロール

昨日早朝、ブログ更新の下書きして用事でPCを離れたらそのまま忘れ、夕方に知人からのメールで気付き慌ててアップ。どうも、すみません。

昨日の更新「映画と音楽33ーブギウギ」

緊急事態宣言が発出されて、更に私の活動もどうなることやら・・・。

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映画と音楽34-ロックンロール
1956年の映画「女はそれを我慢できない」"The Girl Can't Help It"、挿入歌「クライミーアリバー」はジャズっぽくブルージー

若い頃に曲は覚えたが映画は知らず、タイトルからお色気っぽい内容を想像したが、随分後になってDVDで観たら全く違っていた。

 

あるプロデューサーがギャングの親分に「この女性を歌手で売り込んでくれ」と頼まれるが、これが歌が下手、断り切れずライブハウス営業回りを始める。

行く先々に出演するのが、リトル・リチャード、プラターズなどロックンロール初期のスター続々。
プロデューサー氏には忘れ得ぬ恋の思い出があって、それが「クライミーアリバー」と共に蘇る。

 

昨日紹介した「暴力教室」はモノクロ作品でシリアスで暗かったのに対して、こちらはカラー作品でコメディータッチのロックンロール紹介映画、しかし、幾度も登場する「クライミーアリバー」はジャズっぽい曲。

大衆音楽の流れがジャズからロック&ポップへと移行する過渡期で興味深い。

 

この映画でエディー・コクランが「トゥエンティー・フライト・ロック」を歌うシーンがビートルズ伝記映像「アンソロジー」に挿入され、ポール・マッカートニーが語る「ジョンと初めて出会った時に、僕がこの歌を歌ってバンドに誘われたんだ」。