昨日、横浜は残暑で蒸し暑かったが、厳しいと言うほどではなかった。
「俺のフレンチ横浜」、ランチ満席でソロ出演。
その後、ベース菊田茂伸さんとの共演で夜まで。
控室での打ち合わせで、"The best things in life are free"の譜面を出すと、菊田さん「あ、これ知らない曲ですね」。
「長いタイトルだけど、邦題は『人生で最高のものは無料』」と言うと、「そのまんまですね(笑)」。
確かに、無料が最高だなんてドケチ主義者かとつっこみたくなるかもしれない。
1927年に発表された曲で、♪世の中には月、星、太陽、そして愛、人生で最高のものはお金で買えない♪、という歌詞だが、タイトルとして簡略に「最高のものは無料」としたのだろう。
タイトルそのものは英語のことわざだそうだ。
50年代のロックンロール曲"Money"(マネー)もこのことわざから始まるが「そんなこと言っても金さ、俺は金が欲しいんだ」と歌われて、ビートルズもカバーしていた。
私が初リーダーアルバムに収録してライナーノートに、27年の曲が元で「マネー」が生まれたという勝手な解釈を書いたが、ことわざだったと後で知った。謹んで訂正したい。
英語のことわざがタイトルや歌詞に登場する曲はジャズに大変多い。
私はいちいち調べて知るわけだが、英語圏の人なら聴いた瞬間にことわざとしてのフレーズがひとかたまりでストンと入って、それを歌詞が彩る感じがあるのだろう。
なので、直訳で「無料が最高」だと伝わり難く、菊田さんの笑いもよく分かる。
因みに過去"Free"を誤訳して「自由が最高」というのもあったが、何だか納得しがちな邦題だった。
誤訳であろうと何であろうと曲の良さに変わりはなく、過去、邦題を考えて日本人に紹介された方々への敬意も変わりない。