昨日の「20分」は酷寒の演奏で指の動きが鈍くなるタイムリミットだったが、楽器にも影響する。
気温が低いと弦楽器はピッチ(音の高さ)が上がり、管楽器は下がる。
1月の津軽ドームイベントの際、私は電気楽器キーボードで影響なかったが、暖房の控室で、トランペットは高めにバンジョーは低めにチューニングして酷寒ステージに上がった。
弦楽器は線路と同じ理屈で冬は縮むから張りが増して音が上がる、ならば管楽器も、特にトランペットは金属だから同じく上がるはずなのに、下がる。
この違いは、弦楽器は弦の振動で音を出すが、管楽器は管の中の空気を振動させて音を出しているから。
空気は冷えると重く(密度が大きく)なって音が振動し難い、つまり振動数も下がるから音が下がる・・と、理屈はややこしい。
とにかく、管楽器を吹いている時は人の息で暖まっているが、吹くことを止めると冷えてピッチ(音の高さ)が下がる。
以前、谷 啓さんがお住まいになっていた三鷹市の市役所でイベント出演、2月の寒い日の午後、野外中庭の特設ステージだった。
「谷 啓&ザ・スーパーマーケット」トランペット1、トロンボーン2本、テナーサックス1、ウッドベース、ギター、私は電気ピアノ。
順調に演奏が進んでラスト曲は「シングシングシング」、ハイライトはドラマー日高弘さんのソロ、他のメンバー全員楽器から離れた。
独り舞台のロングソロに大きな拍手と歓声、ドラムの合図で全員でラストのリフを演奏、弾いた瞬間電気ショックのように鍵盤から手を離した、コードを間違えたかと。
すぐ管楽器のピッチが下がったと察知して半音下で弾いたが合わず、多分ウッドベースとギターは微妙にピッチが上がっていた、ベテラン名手揃いのバンドが調子外れのままになだれ込んで終演、ワーッと拍手。
つくづく思った、酷寒に生楽器の演奏はするものじゃないと。