本日は豊島区の公民館「ひろば高松」にて恒例「オータムジャズライブin高松」ソロ出演。コロナ対策で予約制での人数制限となったが、開催してくれることがとてもありがたい。
お客様の大半が昭和話をご理解いただけるお年頃、私自身も楽しみにしている。
(シリーズ「言葉」のカウント29が2日間ダブっていたので修正しました)
言葉32-スピード感
ジャズ邦題「月光価千金」は漢詩「春宵一刻値千金」からの引用と言われていて、古代中国の蘇東坡(そとうば、蘇軾(そしょく)の名もある)の作。
東坡さんは詩も書けば役人も勤めたマルチ人間で、治水事業を任せられ工事に従事した人に自ら考案した肉料理をふるまったのが、「東坡肉」(トンポーロー)の由来だそうだ。
「月光価千金」“Get Out And Get Under The Moon”は1928年の5月頃米国で録音され、その年の暮れには日本でもレコーディング、そのスピード感に驚く。
この邦題と日本語歌詞を書いたと言われるのが伊庭孝(いばたかし)、浅草オペラやレビューの演出家として私は昭和喜劇の本で知った。
大正末期の浅草で「女軍出征」という女性だけの軍隊が出征するレビューが評判となり、劇中で歌われる英国曲「ティピラリーへの道」”It’s a long way to Tipperary”も話題で、コメディアン古川ロッパも映画(タイトルは忘れた)で流暢な英語で歌っている。
これら2曲の他にも、「リンゴの木の下で」「私の青空」「ダイナ」「チャイナタウン」など、20世紀初頭生まれの曲が持つシンプル素朴な味わいは時代を越え、今なお平成生まれ世代も楽しんでくれる。
こういう古典曲から「テイクファイブ」まで、一口にスタンダードジャズと言っても別ジャンルほどの違いがあるが、年代差はほんの30~40年ほど。
20世紀前半の変化がここ数十年の変化よりも速いような気さえする。
明日は本日のライブレポでシリーズお休みし、また明後日更新します。