1965年の映画「いそしぎ」、原題は”The Sandpiper”(いそしぎ)でテーマ曲は”The shadow of your smile”だが、邦題はどちらも「いそしぎ」。
いそしぎは映画タイトルにも映る鳥(下イラスト)で、主演のエリザベス・テーラーが傷ついた鳥を手当するシーンがあった。
スタンダードソングにはヴァースとコーラス二部構成が多く、この歌のヴァースは「早春の浜辺、君は傷ついた鳥を抱き、いそしぎの鳴き声がこだましていた」とあるが、”The shadow of your smile”と歌い出されるコーラス以後の歌詞に鳥は登場しない。
なのでヴァースも映画も知らず、この曲が何で「いそしぎ」か分からない方がけっこういらした。
「フライミートゥザムーン」”Fly me to the moon”、ヴァース「君のために詩を書いたんだ」という前フリがあって、コーラス「僕を連れて月に飛んでおくれ、火星や木星の春も見せておくれ」と、これが詩だということになる。
そしてIn other words(つまり),I love you,と愛の告白に至るが、詩だという前提が分からないと天文マニアのカップルかと突っ込みたくなる。
この歌が作られた時のタイトルが” In other words”だったのは、詩にかこつけた「つまり」の告白を強調したかったのだろう。
「夕陽に赤い帆」”Red sails in the sunset”、コーラス「明日結婚する彼女がセイリングで沖に、早く無事に戻っておくれ」、てっきり心配性の男性と活動的な女性のカップルかと思ったが、ヴァースで「黒い雲が迫っている」と理由が述べられていた。
などと理屈を述べた私、「いそしぎ」はたまにヴァース歌うけど後の2曲はヴァースは歌っておらず、”In other words”(つまり)、ヴァースなど知らなくても楽しめるように出来てるというわけで。