映画と音楽14-お久しぶりね

この往年映画ばかりブログでは珍しい昨年(2019年)公開された映画「アベンジャーズ・エンドゲーム」。

スーパーヒーローが何人も集結して悪に勝利し、ヒーローの一人が時代を越えて過去に戻る結末、ラストシーンに流れたのが「お久しぶりね」”It’s Been A Long Long Time”。

ティー・カレン&ハリージェームス楽団の1945年の録音が使われた、と、やはり一気に昔話になる。

 

ジュール・スタイン作曲、サミー・カーン作詞。

♪キスしておくれ、もう一度、久しぶりだね、長い時間ずっと夢に見ていた♪

終戦と同時に大ヒットし日本でも昭和20年代にジャズブーム、そのピークが過ぎる頃に私は生まれた。

 

私がプロ駆け出しの頃、ジャズブーム青春世代は40代~50代で「お久しぶりね」「センチメンタルジャーニー」のリクエストが多く、中にはいきなり歌う人も。

高度経済成長時代の勢いと酒とで「これがジャズだ」と押しつけがましい人もいて、若い私にはこれらの”おじさんのナツメロ”にわずかながら抵抗感も覚えた。

 

45歳で北村英治さんとの共演が始まると「高浜、『お久しぶりね』を歌わないか」、正直、駆け出し時分のイメージが少し残っていた。

北村さん「戦争が終わってこの歌が流行らない訳がなかった。昭和20年の9月からラジオで進駐軍放送が始まってジャズのとりこになってね、学校の友達と英語も分からずに♪キスミーワンス、キスミートワイス♪なんて歌ったよ」

当時16歳の北村少年を想像して話を伺っていたら、妙な抵抗感がすっと消えて素直に歌えるようになった。

 新作映画のラストシーンで思いがけず流れた時も心の中で拍手した。

 

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