昨日からの続き、映画「ベニー・グッドマン物語」(1956)、グッドマン役はスティーブ・アレンが演じたが共演の演奏家たちは本人。
テディー・ウイルソン(Pf)、ジーン・クルーパー(Dr)、ライオネル・ハンプトン(Vib)他。
グッドマンは自身のフルバンド結成しステージ幕間、テディー・ウイルソン、ジーン・クルーパとのベースレス・トリオで"China Boy"を演奏、これが実に素晴らしいのだが、主催者に契約以外の演奏はするなと言われる。
演奏家の想いと雇い主とのずれはありがちなことで共感を覚えてしまうが、グッドマンの「幕間の演奏」には歴史的評価がある。
この当時は人種偏見から白人と黒人が人前で共演することが避けられていて、グッドマン楽団も白人のみだったが、そのステージの幕間という非公式な形でテディー・ウイルソンやライオネル・ハンプトンなど優れた黒人演奏家との共演を行った。
後半、1938年カーネギーホール・コンサートのシーン。
「シャイン」「ムーングロウ」「シングシングシング」名曲ずらり、ゲスト出演はマーサ・ティルトン(Vo)、ハリー・ジェームス(TP)、ジギー・エルマン(TP)、スタン・ゲッツ(TS)などなど、演奏家本人がまだ現役バリバリの時代で再現映像は貴重。
映画ラスト、老いた母をコンサートに呼び隣席にグッドマンの恋人、「メモリーズオブユー」を演奏すると母が恋人に「息子は今あなたにプロポーズしてますよ」、脚色でも何でもポロリ泣けた。
なお映画ではピアニストはテディー・ウイルソン一人だが、実際はもう一人、フルバンドを担当した白人のジェス・ステーシーで、"Sing,Sing,Sing(With A Swing)"ではソロもフューチャーされた、現在CDで全記録を聴くことが出来る。