このところの20世紀初頭の曲の流れで、1912年の英国曲「ティピラリーへの道」"It's A Longway To Tipperary"、ドイツ映画「Uボート」(1981)挿入歌として知った方もいる。
第二次大戦中のドイツ潜水艦の兵士たちが敵(英国)ものともせずで合唱するシーンが印象的。
戦争関連映画と言えば大抵敵役であるドイツ側の人間ドラマは見ごたえあり、ラストシーンに戦争の虚しさを感じる。
歌は、アイルランドのティピラリーから大都会ロンドンに来た若者が望郷の想いを抱く、第一次大戦中のヨーロッパで広く知られ日本にも伝わった。
大正6年の浅草レビュー「女軍出征」で英語で歌われ人気となる、演出家の伊庭孝はジャズ曲「月光価千金」の邦題も考えた。
コメディアンの古川ロッパは映画で(タイトルは知らない)「ティパレーリー」とネイティブ発音に近く歌っている、それほど当時知られたのだろう。
アメリカでディキシーランド・ジャズ定番曲となり、私も若手時分に覚えてよく弾き語った。
望郷といえば「センチメンタル・ジャーニー」もそうだが、こちらはセンチメンタルでもなく元気一杯でディキシーによく合う。
ハリウッド映画は国に関わらず英語ということが多いが、「Uボート」はこの歌以外全編ドイツ語、やはり言語リアル感ある。
「サウンドオブミュージック」公開当時ドイツ語圏で上映されなかったのは、先に同じストーリーのドイツ作品「菩提樹」がヒットしたからだが、例え吹き替えでも馴染めなかったのかもしれない。