映画と音楽121-譜面と名演

昨日、北村英治さんの92歳のお誕生日、メールにうっかり「93歳おめでとうございます」と送信、マネージャー代筆メール届き「『わしはやっと92歳になった若者で、そんなに年はとってない』と言ってます」と。

慌ててお詫びメール、私の方がボケでどうするのと・・・(汗)。

食欲旺盛でとてもお元気で過ごされている様子も伝えてくれた。

 

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映画と音楽121-譜面と名演
映画「五つの銅貨」でコルネット奏者役のダニー・ケイサッチモルイ・アームストロング)のステージに上がり、譜面を出すとサッチモは目を丸くして見るが上下逆さまで直される。ジャズの一面を描いたシーン。

 

ジャズギタリスト、ウエスモンゴメリーが譜面を読めなかった話は有名で、晩年CTIレーベルに録音したアルバムのアレンジャー、ドン・セベスキーの本に興味深い話があった。
『ウエスへの強いリスペクトから意気込んで譜面を書き録音開始したが、演奏はしどろもどろで何が起こったかと思った。
譜面に弱いことを悟り、急遽自由なバンド演奏に切り替えると見事、後日その録音を元にオーケストラアレンジを書きなおしてダビング、ヒットアルバム"A Day In The Life"が生まれた』
この話を読んでも、全く譜面を介さずジャズを習得しあの名演に至ったとは信じ難く、仲間と誇張した話じゃないかと。
それが誇張でないことを理解するのは40代半ば過ぎて。

世界的テナーサックス奏者スコット・ハミルトンさんは北村英治さんと旧知の仲で、私は50歳そこそこの頃に初共演、デビューアルバムを買った演奏家でかなり大きな期待と緊張があった。
ずっと年上と思っていたら1歳違いと知り、穏やかで温かい人柄に幾分緊張も和らいだ。


リハーサルは北村カルテットで軽く2曲ほどの後、スコット参加し「枯葉」、音が出た瞬間「あ、レコード同じだ」と素朴な感動、2~3曲軽くやって終了。
楽屋に落ち着くと北村さん「こっちの曲にも参加してもらおう」、しかしリハーサルではカルテットのアレンジなどおさらいをしていないので、譜面を用意する必要があるのだが・・・続く。