映画と音楽142-洋酒とリッチ

1970年代半ば20歳頃のこと、ピアノ仲間と二人で友人宅に遊びに行った。世田谷の古い一軒家で、ご両親は湘南に建てた家に越して一人暮らし。
「家族旅行でハワイに行ったんだ」と出してくれたのがオールドパーとジョニ黒、驚く私たちに「向こうじゃ安いんだよ」と。
今は驚く話でもないが当時の庶民感覚として海外旅行も洋酒も贅沢、中でもこの2本のスコッチは国産ウイスキーの何倍もする高級品。
若者男子3人、まろやかなのど越しと芳醇な香の初体験に大感激。そんな時代に映画に登場する洋酒もリッチに感じた。

 

ディーン・マーチンがスパイ役で主演した映画「サイレンサー」シリーズ、敵地へ向かう車にはスコッチ「バランタイン」が常備品で毎回ラベルがアップになった。
飲んで歌って運転して、当時は合法だったのだろうか。

 

同じくD・マーチンが人気歌手役、映画「ねえ!キスしてよ」"Kiss Me Stupid"(1964)、テーマ曲はガーシュインの"S'Wonderfl"だった。
人妻(キム・ノヴァク)の夫が酒をすすめるのは「ジャックダニエル」。

 

映画「アフリカの女王」"The Afriican Queen"(1952)、アフリカ奥地の河を行く小型船に船長(ハンフリー・ボガート)と客の女性(キャサリン・ヘップバーン)の二人。
木箱に英国「ゴードン・ドライジン」が何本もストックしてあって、飲んだくれ船長は河の水で割って飲む。
二人は口論となり船長が泥酔し寝ている間に女性はゴードンジンの瓶を次々開けて川に流す。
ああ、なんて勿体ないと思った。