芝浜奇譚

クラリネット奏者の北村英治さんから大晦日に電話を頂き「ニュースだと北陸が大雪らしいが大丈夫か」と。

住まう地域は平野で海に近く、今のところうっすら積もる程度ですと告げると「そら良かった」、92歳9か月と思えない滑舌の良さ、声の張り。

私の身勝手で東京を離れて福井に転居して尚、お心遣いを頂くことは申訳なくもありがたい。

 

昨日、あわら市知人から賀正メールに沿えて「テレビで落語『芝浜』を聴きました、良い噺ですね」

江戸古典、魚屋が時間を間違えて起こされ浜に行くとまだ夜明け、大金を拾い家に戻って友人を呼んで酒肴大盤振る舞い、酔って寝たすきに女房は金を奉行所に届け「拾ったのは夢、散財は本当」だったことにする。

悔いた亭主は酒を断ち仕事に精を出し3年、小さな店も構えた大晦日、女房が実はと打ち明け「辛抱した酒を今日は飲んどくれ」

 

北村英治さんは立川談志さんと親交があり、ある公演で酒を飲まないはずの女房が飲むサゲ(オチ)を演じたそうだ。

北村さん師匠に「何であそこで飲んじゃうんだ?」と問うと、「うーん、今日は何故か飲みたくなったんだ」