演芸

子供の頃からテレビで寄席の演芸が好きだった。育ったのが福井県なので上方のお笑いが多かったが、江戸落語も大好きだったので上京後、テレビでない本物の寄席に行って生の江戸落語や漫才などの演芸に触れた。

長い東京生活で上方味の濃いお笑いに触れることは少なかったが、最近は動画サイトのお蔭で楽しめるようになった。
 見る内に上方の笑いをライブ体験したくなって、同郷の家内と共に昨年夏に大阪に行き、「なんば花月」で漫才と新喜劇を堪能。子供時分から身体に入っているものは如何ともしがたいことを実感した。
 
その舞台にも出演されていたベテラン喜劇人、島田一の介さんのギャグに、「ダメヨダメヨ、ダメナノよ~」というのがある。随分以前からやっていたギャグで、深刻な話の中にこのフレーズが登場して笑いをとる。
既に昨年の流行語になったが、若手女性コントの「ダメヨ、ダメダメ」を知った時に「あれ?」と思った。当然、関西人の多くも「あれパクリちゃうか」と言うが、島田さんご本人は全く気にしてないそうで、そのギャグの元は森進一さんの「年上の女」の歌詞とのこと。
 
どこの国にも話芸はあると思うが、中国に「相声(シャンション)」という漫才がある。一人の漫談、ボケとツッコミの2人、或いは3人と形式的にも日本の演芸に似ている。
以前、北京に行った時にこの「相声」の野外ライブに遭遇したことがある。たまたま通りかかったら人だかりで何だろうと思ったが、早口の二人の会話に周囲の人がどっと笑うので「あ、これが相声か」と。その内容は、残念ながらカタコト話者の私には全く分からなかった。