左10度

本日は、「俺の割烹」「俺のフレンチ・タブルタク」2店舗掛け持ちで、ソロ弾き語り。
20分ステージを2店舗づつ4回、合計8回ステージだが、演奏時間が少ないのでさほど疲れない。

ジャズのソロピアノに興味を持ったのは高校時代、FM放送のジャズ番組で名手レイ・ブライアントのソロアルバム「アローンアットモントルー」が新譜として紹介され、エアチェックで録音して何度も聴いた。
ブルースナンバーや「ロッキンチェア」など、素晴らしいソロ演奏に聞き惚れ、「ピアノソロでこんな音楽が出来るのか」と驚いた。当時ジャズの知識など全くなかった私は、低音部の重厚さは録音の技術的な効果だろうと思った。
ジャズを学び始めると、低音部の重厚さはピアノ演奏の左手で「10度」をおさえる実際の音であることを知った。

10度というのは、例えばド、ミ、ソの和音を左手で弾く時に、ドを小指で、ソを入れて親指で上のミを弾くと厚いサウンドになる。下のドと上のミの音程が10度。
私の手では無理で、欧米人との体格による差を知って愕然とした。
演奏家仲間から「風呂に入る時に指を広げる運動が良い」と聞いて、やったこともあった。ばかげた話と思われるかもしれないが、19,20歳の若者にとって「この先少しでも大きくなれば」と切実な思いもあった。勿論、元々の骨格が変わる訳はない。

ジャズの名手達が全て10度を多用するわけでもなく、それぞれにあったプレイをすれば良いのがジャズのありがたいところではあるが、私のようなスイングスタイルの場合はやはり10度あればと思う、が、これは仕方のないこと。

スイングピアニストの大先輩、秋満義孝さんの手も決して大きくはないが、素晴らしいソロピアノ演奏をされる。若き日、先輩の演奏に励まされての今である。
さて、本日もソロ演奏と歌で出演する。