エニバーサリーと言えば

昨日、青山「俺のフレンチ・イタリアン」にトリオ(酒井一郎B、八城邦義Dr)で出演。
店スタッフからメモが来て「銀婚式25周年のご夫妻に何かお願いします」。
おめでたい歌詞のスタンダードは多いが、お客様が知らない曲でもなんだし、と見ると、銀婚ご夫妻は一見して50代、ならばご存知かと「フライミートゥザムーン」を、次に念押し(?)で「虹の彼方に」もお送りした。
ステージを降りる際、御主人がにこやかに「ありがとうございました」とお礼を述べられた。

ライブのステージで、誕生日はバースデイソングがあるし、これから結婚するカップルに何かと言われると、「星に願いを」「虹の彼方に」、或いは景気の良い「サニーサイド」「君微笑めば」など夢のある歌詞を選ぶ。
記念日と言われると、これという曲が難しいが、やはり夢のある曲を選んでお送りしている。

40年近く前の駆け出し時分のこと、2か月ほど毎夜演奏した店のマネージャー兼歌手の男性が、お客様が何かの記念日というと「エニバーサリーソング」を歌っていた。
当時の私はタイトルに覚えがなかったが、出された譜面で伴奏してみると、
「あ、これ『ダニューブ河の漣』じゃないか」と。

クラシック曲「ダニューブ川の漣」は19世紀にイヴァノビッチ作曲、小学生の頃にピアノ練習曲として弾いた。
その当時のエレキブームで"Danube wave"とアレンジされていたので、クラシックに留まらずポピュラーだったことは知っていたが、実はアル・ジョルスンの歌で有名であることを随分後に知った。

映画「ジョルスン物語」を見たのは30歳頃。ジャズシンガーの草分け的な歌手の伝記映画で、映画の後半に両親の結婚記念日にこの"Anniversary song"を歌うシーンがある。
「それで、あのマネージャーが歌っていたのか」、と、やっと分かった。
そのマネージャーさんとは以来お会いすることがないが、ご健在であれば70代後半~80くらいか。
今はこの曲にまつわる故事来歴を知る人も稀なので、記念日にこの曲をやることはない。

本日はレッスンやって夜は池袋「ばがぼんど」ソロ出演。外を見ると、うーむ、予報の通り雪が降っている。さて、如何なる一日となるかな。