戦争と映画とラブソング

昨日のブログに書いたように少年時代から洋楽に親しんだが、曲の解説が理解できないことも多かった。
「恋した時に」”When I fall in love” 映画『零号作戦』の曲
モナリザ」"Mona Lisa" 映画『別働隊』の曲
1955年生まれの私はこれらの映画を全く知らず、戦争映画風なタイトルと甘美な曲が結びつかず違和感を覚えた。
 
後になって知ったことだが、1930~50年代は第二次大戦や朝鮮戦争があって、その時代に制作された映画、殊に米国映画には戦争とラブロマンスをからめたものが多い。
 
戦時中の1942年に制作された「カサブランカ」は、ナチス打倒をテーマにした一種のプロパガンダ映画だが、こちらも名優とラブロマンス、そしてあの名曲、
”As time goes byが今も親しまれている。
 
“Monalisa” 1950年の登場する映画「別働隊」、主演がシェーンで有名なアランラッドで、戦時下のイタリヤの小さな町から始まる。ナチに抵抗するレジスタンスが、秘密の合図として「モナリザ」を使っている。
終戦後に友人の死に疑問を抱いた主人公が、再びイタリヤの町を尋ねるというストーリー。
 
” When I fall in love” 1952年は映画「零号作戦」、朝鮮戦争の韓国を舞台にして、そこに甘い恋愛がからんで「恋した時に」が流れる。
面白いのは、主演のロバートミッチャムが日本に駐屯していたという設定で、歌謡曲「シナの夜」を日本語で歌うシーンがある。ヒットした歌詞ではないが、相手役の女優さんも英語で一緒に歌う。
 
余談ながら、この歌謡曲が登場した映画「支那の夜」も、日中戦争の上海を舞台に、李香蘭長谷川一夫との共演で歌った。
プロパガンダという点では「カサブランカ」と同じだが、敗戦国日本としては複雑で、戦後は映画のタイトルは「蘇州夜曲」と変更された。
 
1955年にはやはり朝鮮戦争に散った悲恋映画「慕情」が制作され、テーマ曲もラブソングとして大ヒットした。

これらの映画や曲が生まれて既に半世紀以上、映画を知る人は少なくなったが曲は歌い継がれ演奏され、今なお色褪せることはない。
そして今なお、世界の何処かで戦争が絶え間なく続いていることは残念だ。