このところ前日からのリレーになってしまうが、昨日ブログ、米映画「零号作戦」に登場した日本歌謡「支那の夜」の話。
歌手渡辺はま子さんが歌ってヒットしたのが1938年とあるので日中戦争に入った翌年。同名タイトルの映画があることを知り、長年観たいと思ってきたが、3~4年前に知人からこの映画のDVDをお借りすることが出来た。
やがて頑固な娘も船員の優しさに恋心が芽生え、二人は結ばれ蘇州に新婚旅行に。ここで李香蘭が歌う「蘇州夜曲」と共に二人の幸せが描かれる。
夫が日本軍の輸送船の仕事に出て、抗日ゲリラに襲われ死亡の知らせが届く。絶望した新妻は思い出の蘇州で入水自殺、あわやというところに実は生還した夫が、というストーリーだった。
この翌年1941年に制作された李香蘭映画「蘇州の夜」も観た。こちらは相手役が佐野周二で、抗日の中国女性が優しい日本人と恋に落ちて親日へと変わる設定は同じ。当時の上海風景が生き生きと映し出され、いかに先進の大都市だったかを知った。
これらは日本のプロパガンダ映画で、中国人にとっては屈辱的だったかもしれない。映画公開された戦時下の上海で、李香蘭(山口淑子さん)が中国人記者に「何故あんな映画に出演したのか」と質問をされて、「対不起」(申し訳ありません)としか答えられず、苦しんだそうだ。
そんな歴史を踏まえてなお、私は映画として楽しめた。それは国策映画であったとしても面白い作品を作ろうという映画人の誇りがあったのではないかと・・・などなど、単純に楽しめぬ複雑さも残る。
それに比べると、打倒ナチズムが随所に描かれた「カサブランカ」は悩まずに楽しめる。