ひとくちに中国と言っても

東京都心の街や電車で外国人観光客らしき人に会わぬ日はない。
中でも中国語を耳にすることが多いが、台湾から来た人も多く、彼らにとってひとくくりに中国人とされることは抵抗があるようだ。
 
台湾には2回しか行ったことがないが、最初は中国語が普通に通じるのかという不安にも似た疑問があった。
行ってみると中国語を話していて安心した。しかし、下手くそでも中国語で話すとなると、「中国人」(チョングォレン)でなく「台湾人」(タイワンレン)と言うように気を付けた。
これが英語でチャイニーズならば大丈夫なのかは分からない。
 
中国語と呼んでいるのは、その昔、大陸各地出身のエリートが北京で官僚となって、お互いの共通語とした「北京官話」が元と言われている。
 
台湾でも中国語が話されているが、元々大陸南部からの移住者が台湾を形成していった歴史から、その地域の言葉が元となって台湾語として残っている。
日本語の標準語と琉球方言ほどの違いがあって、台北の駅では、中国語と台湾語、英語で放送され、台湾系航空機で日本との路線では日本語も加わるので4言語アナウンスだった。
 
大陸の中でも香港は英国統治時代が長かったので公用語は広東語、こちらも中国語とは大きな差異がある。
それぞれの言葉は違っても漢字で書けばある程度の意思疎通が可能だが、中国とシンガポール簡体字、香港と台湾は繁体字、そして日本も含めるとお互いに読めない漢字も多い。
 
このような違いからも、中国、台湾、香港、各地居住者のアイデンティティが生まれている。
昨今大陸の観光客が大挙して各地に行くことで、お互いの違いを強く意識することにもなっている。