先日ライブのステージで、北村英治さんがゲストのテナーサックス右近茂氏に「いくつなった?」と聞き、「52歳になりました」と答えると、「あ、若いねえ」
右近氏「はあ・・・」。
右近氏としては、年齢的に若者ではないから「はい」と言い難い、しかし北村さんに対して「若くない」と反論もし難いし、と、瞬間迷ったのだろう。
52歳といえばキャリア的には中堅だが、86歳の北村さんからすれば大いに若いには違いなく、私も同等だろう。
誰しも、自分より年下の人に対しては「若い」と言うが、先日電車で20代前半とおぼしき女性二人の会話で「今の若い子はさぁ」との言葉を耳にした。
私は「えっ、この若い子が今の若い子って何歳のことを言ってるのだろう」と思って耳を傾けると、どうも高校生のことらしい。
どう見ても、若い女性が「今の若い子」というのは違和感があるが、本人たちにとってはわずか数年余りの隔たりにも何か違いを感じるのだろう。
世間一般的にキャリアに応じて「若手~中堅~ベテラン」という言い方がある。
「中堅」までは年齢的に自ら言えるが、「ベテラン」は、諸先輩におこがましく、何か偉そうで自らは言えぬ感あり、その分け目も明確でない。
ところが、私とレギュラートリオ(酒井一郎B 八城邦義Dr)はある日突然「ベテラン」と呼ばれるようになった。
20歳から同世代の演奏家仲間と諸先輩方とばかり演奏してきて、お客様も年配の方々という状況で、50歳を過ぎて「中堅」と呼ばれる年になった。
2年前、初めて「俺のイタリアン・JAZZ」にレギュラートリオ(酒井一郎Bass 八城邦義Drums)で出演した時、お店スタッフの司会で「本日はジャズ界のベテランをお迎えしています!」と言われ、私たちは「誰かベテランが来てるのかな?」と、トリオ全員が思った。
すぐ自分たちのことと気が付いて、「えっ、俺たち?いつから?」と。
その系列店舗では、お客様も20~30代、出演者も20代~40代、毎回ベテランと紹介されるのも仕方ないかと観念(?)した。
今はステージで、私自身がトリオメンバー紹介を「ベテランの素晴らしいメンバーです」と紹介している。
さて、本日はメンバー紹介はないソロ弾き語り出演、池袋「ばがぼんど」。