現在このホールはオペラ「真夏の夜の夢」上演中で、休演日に舞台セットをまんま使ってジャズという企画。
舞台は回転仕掛けで3場面のセットが組まれており、各グループ毎に背景が変わる仕掛け。
ジャズ通の方なら、辛島さんはモダンジャズ、北村さんはスイング、山下さんはフリー、そのスタイルの違いの大きさを感じると思うが、皆さん世界的なアーティストであり、どのグループも名手揃いで、音楽性は違えども見事な演奏だった。
辛島さんは癌で体調悪く、車椅子でピアノの脇まで行く状態ながら、演奏は実に見事で揺るぎない。
北村さんが会話したところによると、抗ガン治療を断った今、ピアノを弾く瞬間が何よりの薬になると語ったそうだ。
山下洋介さんも70歳半ばと思えぬエネルギッシュな演奏。
往年のフリー部分は少なく、楽曲の骨子に添う部分が多くなっていた。
所謂「ギンギン」とか「ゴリゴリ」と形容詞が付くモダンジャズ2グループで、当初トリの出演依頼を北村さんが「真ん中で箸休めになれば」と希望。
演奏曲目は「ローズルーム」「お久しぶりね」「リンゴの木の下で」など弾き語りも交えたごく普段の気軽なナンバー。
各リーダー3人は私が駆け出しの頃に既に活躍されていて、名実ともに世界を相手にする優れたアーティスト。そんな方々と同じステージに出演させて頂いたことは、とてもありがたく思う。