続・昭和テナー

昨日ブログの続きになるが、1970年代半ば、プロ駆け出しの頃にいたキャバレーで「魅惑のムードテナー」というショーがあった。

テナーと譜面持参で来演、レギュラーバンドが伴奏を勤め、「ダニーボーイ」「ハーレムノクターン」「スターダスト」などジャズ曲の他、流行歌謡曲など。
 
テナーサックス演奏がショーに成り得たのは、当時のお客が演奏曲を全部知っていたことと、この楽器の人気だろう。
昭和に「夜霧」「むせびなく」と言えばテナーと相場が決まっていた。
 
こういった”ジャズっぽい”好みは中高年に残っていたが、世はまさにポップス全盛時代。
ジャズそのものはかなり複雑な方向へと進化し、革新派ジャズファンはスタンダードジャズですら大衆性の強い古物扱いの風潮もあった。

当然、革新的ジャズテナーは夜霧にむせびないたりせず、一般的にジャズ・イコール訳の分からない音楽と言われた。

あれから40年、あの頃の中高年諸氏は他界されたか後期高齢者、ポップス全盛で育った若者は親となり、その子供、へたすりゃ孫も社会人。

なのにジャズは飲食店B.G.Mで頻繁に流れ、スタンダードオンリーの私もそこそこに仕事を頂いている。
革新も保守もあれもこれも個人のお好みという良い時代になった。

さて、本日は銀座「俺のフレンチ・ターブル・タク」「俺の割烹」、掛け持ちソロ出演。