世代を超えて

昨日、横浜「俺のフレンチYOKOHAMA」に、クラリネットの宮崎義彦くんと出演。
27歳の宮崎くん、以前の共演時より更に肉がついた(音楽的に)感じで実に頼もしい。

選曲と進行は彼に任せて、各ステージ4曲中、1曲私の歌で構成。

"Avalon","Sheik of Araby","struttin' with some BBQ"などなど、「俺の」シリーズではあまりやらないスイングナンバーずらり。
中でも"It's been a long long time"「お久しぶりね」は宮崎くんのリクエスト。

彼が「この曲ってあまりやらないし、歌う人も少ないですよね」と言うので、「昔はやたらに多かったんだよ。実は若手の頃あまり好きではなかったんだ、っていうのがね・・・」

この曲が流行ったのは1940年代後半で、進駐軍時代に10代を過ごされた世代には懐メロのひとつ。

その方々が40代の働き盛りの頃、ジャズピアニスト駆け出しだった私、この曲をよくリクエストされ中には歌うお客様もいらした。

優れた演奏家や歌手との共演を夢見る若者にとって、お客の伴奏というのはかなり辛いことで、そんなことからこの曲が好きになれなかった。

北村英治さんとの共演が始まって、この曲を歌わないかと言われた時も、その思いはわずか残っていたが、ご要望に応えようと練習してみた。

やってみると冒頭のメロディーが、ドミソド、シミソド、発声練習のように上下するメロディーが難しかった。

そんな技術的な緊張で好き嫌いなど言ってる場合でなく、加えて、北村さんのトークが歌の背景を描かせてくれた。

終戦直後、離れていた恋人や家族が久しぶりに再会して、この歌が流行らなかった訳がありませんね」
ああ、成程と、以前の嫌な思いもすっかりなくなった。

かつてお客も歌ったこういう曲は、ジャズと言ってもかなりポピュラーな要素があり、間奏のアドリブも過度にジャズっぽいと曲の雰囲気に合わぬこともある。

宮崎くんのクラはこの曲の雰囲気を理解した良い味わいで、私も気分良く歌わせてもらった。
それを若い世代のお客様もよく聴いてくれて、楽しい一夜だった。