夢見る人

ジャズや往年の英語歌にはまだ見ぬ恋人を夢見る歌詞がいくつもある。

"Beyond the sea"は、海の彼方に僕を待つ恋人がきっといる、ガーシュイン"The man I love"は、いつかきっと素敵な彼氏が現れる。

オールディースの"Where the boys are"も同様だが、1960年前後、当時は洋楽ポップスを日本人歌手が日本語でカバーしてヒットしていたので、この歌も「ボーイハント」という邦題と共に日本語歌詞の印象が強い。

♪わたしの、大好きな、優しい面影、夢見る瞳よ~ 
今ごろ、あの人は、町から町へと、さまよい歩くのか~♪

小学校低学年の私には、「あの人」がまだ見ぬ夢の恋人ということなど理解できず、「好きな人が何故さまよい歩いているのか」が謎だった。

家にレコードがあった訳でもないのに何故かこの歌が好きで、20歳後半、若手仲間で結成したジャズコーラスグループでやろうとアレンジした。

その頃はオリジナルヒットのコニー・フランシスも知っていたので、英語歌として譜面を書いたが、リードヴォーカル亜樹山ロミさんが「世代的に日本語の印象が強いから」と日本語のレパートリーとなった。

当時、各地のホテルなどでのショー仕事も多く、この歌はとても受けて、「やはり日本語は受けるね」などと言いあった。

あれから30年余り、高齢化社会の今、「~さまよい歩く」の歌詞に「徘徊」の二文字を重ねてしまっては、どうにも夢がなくていけない。

さて本日、88歳4か月ながらそういう二文字に縁遠い北村英治さんとのライブ、銀座「スイング」。