アドリブ

ジャズも様々なスタイルがあるが、私の場合はアドリブもそんなに複雑でもない音使いでメロディックなフレーズを紡いでゆく。

ジャズピアノ初心者の方から、「どうすればアドリブが出来るようになるか」という質問を良く受ける。

分かり易いフレーズをコピーして覚えて行くことから始まって、様々なコード進行に応じて自由にフレーズが紡げるように練習する。

これは国語学習に似ていて、まず簡単な挨拶や単語から始まって、様々な場面に応じたパターンを覚え、実践で会話。
早道はなく、鵜呑みで覚えて(コピー)、練習して実践の繰り返しだ。

国語学習教材のCMで「聴くだけで話せるようになる」というのがあるが、確かに日常的に耳を慣らして雰囲気をつかむことも大切。

ジャズのアドリブも、日常的に聴いて雰囲気をつかみ、体で覚えて無意識で反応出来ることが大切。
そして次に、反応出来るだけでなく内容が上質かどうか、これが難しい。

北村英治さんが以前、アメリカでアルトサックスの巨人ベニー・カーターさんのご自宅を訪問した折に、ソプラノサックス名手シドニー・ベシェの話をしてくれたそうだ。

「ベニー・カーターさんが、『シドニー・ベシェは決して手クセで吹いてないから無駄な音がない、だから素晴らしい、そうだよなエイジ』って言うんだよ。それは俺に『それが大切だ』と教えてくれてるんだって思ったね」

その話を聞いて、それは私に対しても「アドリブに無駄な音が多過ぎる、もっと削いでメロディックな良いフレーズを弾く方が良い」と言うアドバイスだと受け取った。

それから随分時が経ったが、今、時折自分の録音を聴くと、少しは良くなったかと思うが、まだまだ・・・なのである。