門前の小僧

昨日、池袋「ばがぼんど」、カウンターの男性からリクエストのメモ、"You'd be so nice to come home too"と書いてある。

長いタイトルを正確に書ける方は少ないから余程お好きなのだろうかと思いつつ、弾き語りでお送りした。

演奏終えてその方に、私が20代の頃、時計のCMにこの曲が使われて毎晩どこへ行ってもリクエストが来た話をした。

使用された音源は、50年代のヘレン・メリルの歌とトランペットのクリフォード・ブラウン共演録音。
バンドも印象的なイントロをまねて演奏すると、「これこれ!」と喜ばれたものだ。

ジャズは一つの曲が演奏家個々人によって味の違うところも魅力だが、たまたまCMなどで好きになるとその再現を求める方も多く、「これこれ」という言葉も分かる。

「これこれ」だけで楽しんでくれれば良いが、中にはご自身の印象と違うとクレームを述べる方もいらした。

この歌はヘレン・メリルのハスキーヴォイスで覚えた方が多く、ライブでリクエストして、たまたま女性歌手の声がクリヤーだったりすると、「もっと酒と煙草で声をジャズっぽくしなさい」と。
更に酔いもプラスすると、「それと、男ももっと知らないと」などと、実に不適切なアドバイス(?)を投げかける方もいらした。

当時、私はコーラスで声は出していたが一人で歌うことはなく、この曲も歌ったことはなかった。

50歳前後になって弾き語りをやるようになり、この曲もと思った時に歌詞をほとんど覚えていた。
毎日のように歌の伴奏をしていた、門前の小僧習わぬ経を読むの例え通りだ。