資産家

昨日、銀座「スイング」、北村英治さんライブ。
ベース山口雄三さん、ドラム八城邦義さん、ゲストにクラリネットの花岡詠二さん。

リクエストで「白い渚のブルース]"A Stranger On The Shore"。
英国のクラリネット奏者アッカー・ビルクのヒット曲で、北村さんトーク

「テナーのスコット・ハミルトンから聞いた話ですが、アッカー・ビルクという人はとても穏やかな紳士で、とてもお金持ちだったそうです。

英国にはお金持ちの演奏家というのがいて、ビル・スキートというテナーがいま
した

米国のビル・ベイリーさんが、ロンドンに演奏に行った折にそのビル・スキートが空港に迎えに来てて、『宿を取ってなかったら僕の家に泊まりませんか?』と。

スキートさん、ヨレヨレのシャツにサンダル履き、これなら気兼ねなく泊まれるだろうと『じゃ、世話になるよ』と。
ところが空港出たら、運転手付きのロールスロイスに乗る、『おや?』と思ってたら、すごいお城に入って行く。
そこが彼の家だった。

長い廊下に年代物の美術品とか並んでて、食事の時間になったら正装した執事に案内されて、長―いテーブルの端にお互い座って。

ビル・ベイリーさん
『驚くことばかりで、食事の味なんで分からなかった。
こんなとこ来るんじゃなかったと思ったけど、彼の部屋に行ったらテナーサックスとか譜面がぐちゃぐちゃに散乱してて少しリラックスできた』と」

因みに、ビル・ベイリーさんはデューク・エリントン楽団に在籍した名トランペッターで北村さんと親しかった。

さすが世界的演奏家の北村さん、話題も豊富だが、この話はまだ続きがあって、
「スキートさんに私も会ったことがありますが、ロシヤに行って素敵な女性と出会って結婚されたんです。
ところが、3年ほどして若いのに亡くなりまして、その奥さんがお城を相続したと聞きました」

花岡さんすかさず、
「何だか、このところの資産家の不審死ニュースみたいですな、それ」。