記憶の始まり

私は昭和30年生まれで、既に日本が敗戦から復興した風景から記憶が始まっていて、音楽といえばロカビリーブームだった。

ロカビリー、ロックンロール、アメリカンポップス(現在はオールディーズと呼ばれる、1950年代末~60年代初頭のヒット洋楽)、音楽的にはそれぞれの違いはあるが、当時の大人は洋物ポップスをひっくるめてロカビリーと呼んでいた。

昭和初期にシャンソン、タンゴ、ハワイアンなど多種の洋楽を取り込んでいった日本人が、戦後まで”舶来流行音楽”を「ジャズ」と総称していたのは、かなり大雑把な言い方だが、ロカビリーの時代でもそれは残っていた。

60年代に入ると、ナットキング・コール「ランブリングローズ」、フランク・シナトラ「夜のストレンジャー」などの新譜ヒットも、既にポップな曲調のものばかりだったが、本来有名ジャズシンガーだからジャズと呼ぶに何の違和感もなかったわけだ。

明治生まれの祖母はデビュー当時のビートルズでさえ「こういう”ジャズ”は分からないねえ」と言っていたが、ジャズの影響も残しつつ世の流行は急速にポップへと移行した時代、舶来音楽全般を「ジャズ」と総称することもなくなっていったように思う。

それより少し前の昭和20年代は、戦後のジャズブームと言われた時代で、北村英治さんからお聞きする話が面白い。

この話しはまた明日。