共有感

昨日、池袋「ばがぼんど」。

リクエストで「慕情」「モナリザ」、そのお客様は70代の男性お二人。

「慕情」を久々に弾き語った。

40年前、よくリクエストも頂いたし、結婚式でも新郎新婦の入場曲としてもよくやった。
と言っても「慕情」は1955年の映画のテーマ曲としてヒットしたのだから、既に20年余り経っているわけだが、まだ、愛の名曲として親しまれていた。

しかし最近は、出演が多い「俺の」でもやらない。

それは、「知らないけど良い曲ね」程度は感じて頂けるとは思うが、あの頃のあの喜びがお客様と共有できないから、という私の我がまま勝手な思いだ。

「愛情物語」「旅情」「追想(アナスタシア)」「カサブランカ」などなど、私より少し上の世代のお客様が、映画の記憶と相まって、私の演奏(歌)を何倍も膨らませて聴いてくれる、その反応に私もいっそう気が入る、こんな共有感、最近はめっきり減った。

とは言え、それで寂しいという話ではない。

ジャズ名曲の数々が、20世紀初頭のレビューだったり映画だったり、私も出所を全く知らないのも多く、「共有感」を語った映画音楽はそのほんの一部。