写譜屋

譜面の話し、と言っても私の周囲に限ったことだが、時折、ヴォーカルなど共演者の譜面が老眼で見づらいことも多い。

今はコピーやパソコン用に便利なA5サイズが一般的になったが、元々五線紙はそれらの書類サイズになく、少し大きめで12段と10段が一般的。

クラシックなら12段でも問題ないが、ジャズなどでコードその他の情報を書き込むには10段の方が望ましい。

譜面専用の「写譜ペン」はペン先の向きで太い線、細い線を書き分け、写譜を仕事とする「写譜屋」が書いた譜面は見事だった。

長い歴史の中で、照明が十分でなくとも、老眼であっても対応できる結果だったのかと思う。

但し写譜屋に依頼するには経費もかかるので、演奏家がアルバイト的に書くことも多く、私も一時期ヴォーカリストに頼まれてよく書いた。

写譜屋には及ばずとも読み易い譜面を書く努力と工夫をしたが、それは多くのプロの譜面を見た経験からだった。

昨今のジャズ仕事で時折共演する若手の方々は、写譜屋もその譜面もご存知ない。

令和3日目に昭和な話になってしまったが、写譜屋さんは今もいらっしゃるのだろうか。