クラリネット名手の谷口英治さんと初めての出会いがいつだったかは覚えていないが、かなり前になる。
私はプロデビューして以後、どういう訳だかクラリネット奏者との縁があって、いずれも先輩諸氏だった。
40代半ばに至る頃に北村英治さんとの共演が始まったが、その頃には谷口さんは既に若手として活躍しており、その内、北村さんのゲストとして共演するようになった。
私とは一回り違いだが、北村さんという大きな存在故に彼としてはかなりの気遣いがあったかと思う。
私の印象としては、彼が大学の講師も務めていることもあって学者肌のお堅い人のように感じていた。
「俺の」シリーズでは早い時期から谷口さんもレギュラー出演者だったが、共演のないままに何年か過ぎ、昨年春に突然デュオのスケジュールを頂いた。
谷口さん、「高浜さんなのでスイングの小唄を」と、およそお客様ご存知なかろうスイングジャズ名曲を演奏、これが意外に受けがよくお互い気分良かった。
その後も「俺の」シリーズで共演があって、彼からライブの依頼も。
さしでじっくり共演すると、彼のユーモア精神や緩い部分を知って、以前のお堅い印象などすっかりなくなった。
ただ、彼は音楽に関する様々なことを分析し言葉で表現出来る才能あり、故に多くの後進育成に貢献していることは、学者肌の印象は当たっていたのかもしれない。