乾燥は間奏で

18歳で福井を出て初めて迎えた東京の冬は嬉しかった。

日本海側は雪雲に覆われる日々で湿度も高い、それが東京では晴天続きでカラッとしているからだった。

しかしこのカラッと乾燥が歌にはしんどいから、寝る時は加湿器、仕事には白湯を入れた水筒を持ち歩いている。

昨日銀座「俺のフレンチ・ターブル・タク」、ここはステージ時間が短いので、いつもは持って出ないが、ワンステージ目に持参してみた。

結局、ソロ(一人)でトークして弾いて歌ってなので飲む間がなく、ステージ時間も20分と短いので、次のステージからは控室に置いて出た。

それを思えば、昭和落語名人の三遊亭円生は見事だった。

私がテレビなどで記憶しているのは晩年の姿だが、必ずと言っていいほど噺の途中でお茶を飲むが間(ま)が切れない。

茶を飲むのだから当然声が途切れるのだが、そこで噺が途切れる感じがないのはさすがの名人芸。

歌手とピアニストが別なら、ピアノの間奏で歌手は水分補給できるが、私は両方一人なので、間奏で乾燥を補えないと言うくだらない駄洒落で失礼しました。