ステージ今昔

若手の頃、ホテルやレストランの演奏において「慕情」は、絶対に喜ばれる曲のひとつで、リクエストも多かった。

今は、映画も歌の記憶も薄くなって、年配のお客様が多い会場でのみやる曲となった。

先週末の「俺のグリル&ベーカリー大手町」で、ふと、やってみようと。
若い世代のお客様だったが、よく聴いてくれて拍手を頂いて、「あ、良かった~」。

ウケるウケないに関わらず名曲を紹介することは大切と思うが、最近はごくたまに。

1950~60年代、ジャズが流行音楽だった時代が過ぎて複雑なモダンジャズへと進化する、一方でポップスなど新しい音楽、その対比が鮮烈になって70~80年代、ともすればスタンダードジャズを時代遅れ的に感じた人が多かった。

北村英治さんですら「辛い時代だった」と振り返るほどだが、若手の演奏家はその時代を知らない。

往年のホテルラウンジと「俺の」ステージはよく似ているが、むしろ今の方がスタンダードジャズが多く、個人的には良い時代になったように感じる。

こんな昔話をブログに書いて、往年の曲ばかり演奏する私が、若いお客様の前で演奏することは、ありがたい話。