学ぶこと

一昨日、福岡での北村英治さんの講演は、ジャズ演奏家との交流から様々なことを学んだ経験から、「教わることの幸せ」がテーマだった。
それは、講演参加者がジャズに馴染みがない方であっても、十分伝わる内容だと思った。
私は、過去プライベートに聞いたことがある楽屋話も織り込んでいた。以下、一部紹介します。

「米国のジャズフェスでスタン・ゲッツ(TS)がウディーハーマン(Cl)を紹介するからと言ってくれて、後について楽屋へ行くとウディーが熱心に楽器の調整中だった。するとスタンは数分以上、黙って脇に立って待っているんだ。
調整がひと段落したところでウディが「おや、スタンかい」と声をかけて、やっと紹介してくれた。米国人でジャズというと何でもざっくばらんな印象だったけど、先輩への尊敬の深さを知った」

「ベニーカーターさん(AS)の自宅を訪ねた折に彼が、『シドニーベシェ(SS)は、早くて込んだフレーズを吹かないが、彼はワンフレーズ吹くのに考えるんだ。指くせのままでなく、思いを込めたフレーズを歌うように吹く、だからいいんだ』と、これは、お前もフレーズを大切に演奏しろと言われている気がした」

「テディウイルソンさん(Pf)が、私を気に入ってくれて米国でも共演してくれた。
米国ジャズフェス初出演で、ジョンルイスのピアノとデュオがあった。ジョンさんが『エイジはテディと共演しているからね』と、"Body and soul"をやり易いテンポで弾いてくれた。モダンジャズのジョンさんならもっと遅めで弾くと思ったのに、スイングのスタイルでやってくれる、なんて優しさだろうと感激した。お蔭でリラックスして吹けて、お客様からすごい拍手をもらって、また感激した」

話に登場する演奏者は、ジャズ史に残るトップアーティストばかり。過去、北村さんからこれらの話を初めて聞いた時は、「えっ?、スタンって、もしかして、あのスタンゲッツ?・・・えっ?ウディーハーマン?、同姓同名じゃなくて超有名な本人?」と、いちいち驚いたものだ。
そのような巨匠たちから多くを学んだことを、北村さんご本人は「運が良かったんだ」と言うが、謙虚で素直な気持があってこそ受け止め学びとることが出来たのだろう、と、私も学ばせて頂いている。