メッセージ

来月の定例ライブは「今は昔」をテーマに、過ぎた昔を偲ぶ曲を特集する。
その1曲が「谷間に灯ともし頃」 "When it's lump lighting time in the valley"。

過去の定例でも取り上げたことがあるが、子供の頃から好きなカントリー曲だ。
日本でも戦前から親しまれた歌だそうで、私の世代だと小中学生の音楽教科書にも掲載されていたと思う。

旅路の夕暮れ時、谷間の人家の灯に故郷の母を思い出すという歌詞、それが何故「今は昔」かという理由は後ほど。
 
若い頃にジャズバンドの演奏旅であれは長野県あたりだったか、夕暮れ時に山間の道路を走行。
日没で空は暗い青、山影は黒く、谷間にぽつりぽつりと、オレンジ色の人家の灯が妙に暖かく、あの灯の下でこれから夕飯の支度だろうかなどとふと思った。
バンド仲間との車中でとくに寂しさなどなかったが、一瞬センチメンタルな感情にかられ、この歌が浮かんできたことがあった。
PCのマウスで描いた絵はどうも上手くないけど、こんな雰囲気だった。
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通常歌うのは1コーラスのみだが、実は2コーラス、3コーラス目には、罪を犯して放浪の旅路、夕暮れにふと見た谷間の灯に故郷の老いた母を思い出す、という切なく重たい内容。それで今回取り上げたという訳。
 
1950年代辺りまでのカントリーソングには、こういった罪人の歌がけっこうある。
ハンクウイリアムスも、獄中で夜汽車の汽笛を寂しく聞く「寂しき汽笛」や、俺のように博打で罪を犯したりするなと道を説く「ロストハイウエイ」など。
その対極にセイクレッドソングがあって、キリスト教の神への感謝とか罪を悔いて生きようという宗教的な歌も多い。
 
欧米音楽にはカントリーやゴスペルなど宗教的だったり反戦など、メッセージ性を持つ音楽が多い。
日本でもかつて60年代反戦フォークというのはあったが、大抵は恋愛や平和、自然をテーマにしたものがほとんどで、それも日本の文化だろう。

私の定例ライブも毎回テーマはあるが、とりたててメッセージということでなく、お客様と私たち出演者が楽しむひとときとして長年続けている。
今回この曲も選曲した経緯は話すが、旅愁の歌として軽くお届けする予定。