アル・ジョルスン

先日テレビで米映画「ロンググッドバイ」を観た。
公開当時、レイモンドチャンドラー作のハードボイルド小説を大胆に変えた脚色が好評だったそうだ。私は原作を読んでいないのでその違いの妙は分からないが、かなり楽しめた映画だった。
 
映画の冒頭、エリオット・グールドが演じる探偵フィリップ・マーロウが無実の罪で警察に逮捕される。
指紋を取られた手のインクを拭うことも許されず取調室へ。強引なやり方に、顔に手のインクを塗り「アル・ジョルスンのマネでスワニーでも歌おうか」と茶化す。
 
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無実と判明して釈放され、調査依頼を受けて向かったお屋敷の守衛と、ジェームス・スチュアート他往年のハリウッドスターのモノマネをやりとりする。

映画公開の1974年当時、こういう“往年のスタージョーク”が通じたんだなと思う。
同時代のテレビシリーズ「刑事コロンボ」にも、その類の話題や当時初老を迎えた本人が登場した。ということを最近の再放送で知ったことで、放映当時高校生の私がどれほど分かって観ていたか。
 
ある程度のことを知るようになった20代半ば頃だったと思う、サミー・デイヴィスJrの来日公演をテレビで観た。
歌の合間にモノマネコーナーがあって、ハンフリー・ボガード、ジェームス・スチュアート(サミーはジミ・ストュアートと言ってた)、そしてマーロン・ブランドの時はバックのギターが「ゴッドファーザー」を流した。
このあたりは英語の台詞は充分理解出来なくても「あ、似てる」と思えたし、お客の反応も良かった。
歌手ではナット・キング・コールディーン・マーチン大受けだったが、アル・ジョルスンは観客の反応はかなり鈍く、私も同様。

今ならば動画サイトで簡単に聴けるが、歌声を知ったのはそれから何年か後で、更にヴィデオ時代となって伝記映画「ジョルスンストーリー」を観た。
 「アヴァロン」「エイプリルシャワー」など、アル・ジョルスンによって大ヒットして、スタンドナンバーとなった曲は多い。

映画「ロンググッドバイ」で顔に手のインクを塗るのは、初期のアル・ジョルスンが顔を黒塗りで歌ったから。
それは、19世紀の米国で人気があった旅回り芸人一座ミンストレルショーで、白人が黒塗りで黒人を演じたことに由来していて、ジョルスンも少年期にサーカス一座で歌手としてスタートした。

映画は、後になるほど何気ないシーンの意味が分かって楽しみと深みが増すことも多い。

さて、本日は、池袋「ばがぼんど」、ソロ出演。