昨日ブログの続きになるが、 旧知のドラマー原田俊太郎氏が、夫婦で行ったイタリヤ旅行の話し。
あるレストランに入るとギターの弾き語りがいて、「本場のカンツォーネが聴けるって期待した」のだそうだ。
離れたテーブルに日本人とおぼしき若い女性客二人がいて、弾き語り氏が近づいて歌いかけると、二人は笑顔でチップを渡した。今度は原田夫妻のテーブルに近づいて来た。
「それがさあ、明らかにギターも歌も上手くなくて、とてもプロといえないんだよ。で、1曲終わるまで我慢して言ってやったんだよ、イタリヤ語知らないから英語で“ユーニード・プラクティス!”ってさ」
“練習しろ”とは手厳しいが、イタリヤだからという期待が裏切られて我慢できなかったのだろう。
これとは反対の経験がある。
10年余り前だが家内と北京に行って、夜、たまたまホテル「北京飯店」を通りかかった。
歴史あるホテルだから覗いて行こうかと入ると、ラウンジがあって演奏をやっているので席に着いた。白い布カバーのソファーは昔の校長室を思い出すお堅い雰囲気で中国らしかった。
ドリンクを注文して演奏を聴いた。中国人とおぼしき女性ピアニストと白人のアルトサックスでスタンダードジャズ、なかなか良い演奏だった。
がらんと広い客席にお客がまばら、私と家内だけが拍手するとピアニストがこちらを向いて軽く会釈した。
3~4曲ほど聞いたところで、ラストステージだったようで白人さんがアルトを片付け始めた。
私はピアノの所に行き、女性に「素晴らしい爵士(ジャズ)演奏でした」と中国語で話しかけた。
女性は笑顔で「ありがとうございます」と言い、「お仕事でいらしたんですか、もしかして音楽関連とか?」と聞かれたので、「仕事ではなく観光で、私もジャズピアニストです」と告げると、「是非、1曲弾いて下さい」と。
ピアノに座って”My one and only love”を弾きだすと、かの白人男性がアルトを再び出して途中から参加、アドリブのやり取り、予期せぬデュオセッションだった。
終わってアルト奏者と握手を交わし、お国を聞くとロシヤ人だった。
ピアニスト女性に中国のジャズ事情を伺いたかったが、彼氏らしき男性が迎えに来たので野暮はいけないとそのまま別れた。
全く予期せず良い思い出となった。
というわけで、本日も良いライブをお届けして、お客様に心地良いひとときを持ち帰って頂こう。
銀座「俺の割烹」・「俺のフレンチ・タブルタク」ソロ弾き語り、掛け持ち出演。