貸本屋の思い出

今月に入ってすぐ、漫画家の水木しげるさんの訃報に接して思い出す昭和の風景。
 
小学生時分に兄についてよく「貸本屋」に行った。
昭和30年代はどの町にもあったと思うが、低料金で本を貸出す店で、子供向けの漫画本や大人向けの雑誌なども置いていた。
 
家の近所の店は駄菓子も売っていて、子供(大抵男の子だった)が5~6人も入れば一杯、おばちゃんが店番していて奥が住まいだった。
 
貸本屋専用の単行本というのがあって、記憶だとB5版より少し小さかったか。
表紙はカラーで、ページは週刊誌より少し厚手のざらっとした紙に青や緑の単色刷りだった。
 
少年漫画雑誌も月刊誌になると少し値段が高かったが、とじ込みの別冊や組み立てキットの付録が大いに魅力的だった。

本と別冊は貸出し用だが、組立付録はおばちゃんに予約しておくと10円か15円かで売ってくれた。
 
組立付録というのは、厚紙でゴム仕掛けの拳銃キットとか、厚紙にレコードの溝が刻んである戦艦大和の写真というのもあって、プレーヤーにかけると「軍艦マーチ」が聴こえた。
 
貸本屋の単行本に「墓場の鬼太郎」というのがあって、細密に書かれた絵とスリラーめいた内容に興味を持った。
 
その後「ゲゲゲの鬼太郎」とタイトルが変わって、少年週刊誌に連載されると大人気となり、テレビアニメ化されて今に至るスタンダードな人気となった。
大手出版社から発売された単行本は、私も何巻か持っていた。

 
私が上京した昭和48年頃は、東京にも貸本屋が残っていたが、かつての専用単行本ではなく大手出版社の単行本となっていた。
そんな店も、いつしか消えていった。

水木しげるさんの御冥福をお祈りします。
 
さて、本日は横浜へ、「俺のフレンチ YOKOHAMA」。
午後1時過ぎ~ソロ演奏、そして、3時過ぎ~夜は、菊田茂伸(Bass)さん、ジーン重村(Drums)さんとトリオで出演。