20年ほど前、二胡奏者チェンミンさんとの共演で「アレンジできそうな曲があったら」と資料のカセットテープをもらった。
どれも馴染みのない中国の曲ばかりだったが、中に馴染みのメロディーが1曲、「おや?昭和歌謡の『南の花嫁さん』じゃないか」と。
子供の頃に祖母がよくテレビの懐メロ番組を見ていて、女優の高峰三枝子さんが歌って優しく良いメロディーだと記憶していた。
そのはずが、タイトルは「彩雲追月」とあるので不思議に思いチェンミンさんに聞くと、「中国の有名な伝統曲」と言われて、どういうことか調べてみた。
どうやら、戦時中に日本の作曲家が自作としてヒット、戦後、本来の作曲家名「任光(レンクワン)」に変更されたようだ。
任光はパリ留学で音楽を学び、この曲を1935年に管弦楽曲として作曲したが、日本でヒットする前に戦死。
15年ほど前に北京に行った折、真新しいショッピングセンターで流れていて大スタンダード曲なんだと実感した。
懐メロ「南の花嫁さん」を知らない世代が多い今、事実を知った私の驚きも理解し難いとは思いつつの話題でした。
自分でも気に入ったアレンジだったが、ここ何年か演奏していなかった。
今回「夏生まれ」でクラシックのお二人から希望されたことは、とても嬉しい。