記憶の彼方の味

北村英治さんと東海道新幹線に乗る時、我々メンバーは東京駅、北村さんとマネージャーは品川駅から、お弁当にサンドイッチを買ってきてくれる。

何か月か前、何種類かあるサンドのひとつを出して、
「これ、フレンチトーストとベーコンのサンド。メープルシロップの甘味と塩気が、意外な美味さなんだ。アメリカに行った時の朝食で好きになった

メンバー諸氏、それぞれの好みで選び、私はそれを頂いてみた。

「意外な」と言うほど意外に感じずに、ごく口に馴染んだ。
2~3回頂いたが、口に馴染むことが自分でも不思議だった。

子供の頃、休日の朝にフレンチトーストを祖母や母が作ってくれたのは覚えているが、もしかしてベーコンも・・・?曖昧な記憶が気になって、函館に住む兄に聞いてみた。

「和英の記憶に間違いない、時々だったが朝食にフレンチトーストとベーコンを一緒に食べた」、ああ、やっぱり、と疑問が解けた。

更に兄からメール。
「朝食はオーツミールやコーンフレーク、パンで育ったが、学校で皆と違うことを知って、母に頼んでご飯にしてもらった。
吊りズボンも俺一人で、いやだといって普通のベルトにしたり、皆と同じにしてくれと”泣いて”頼んだことはいろいろあった」

祖母と母はかつてのアメリカ暮らしが日常にも残っていて、昭和23年生まれの兄は、学校で皆と違うことを知って辛い思いもしただろう。
そのお陰で、私は泣くほどの想いは少なかった。

さて、本日は銀座「スイング」、北村英治さんのライブです。