楽器の運命

クラリネット奏者の谷口英治さん、先日、東京都内の小学校に吹奏楽の指導に行ったそうだ。
中のアルトサックスに目が留まり、見ると「ニッカン製」で驚いた。

私は中学時代にブラスバンドでトロンボ-ンを吹いた当時、ニッカン製はたくさんあった。
日本の管楽器メーカーの草分けで、その後ヤマハに吸収されて(調べると昭和45年)今は先ず見ない。
 
谷口さん、その楽器に小学校の名が刻印されていたので、ネット検索して調べたところ、都内に実在した小学校で廃校になっている。

「多分、引き取り先を探して、たまたま良い状態で残った楽器かと思います。
造りもしっかりしていて、それを今の小学生が使っているのは感動ものでした」と。
 
この話を聞いて思い出したのは、ある小学校のピアノ。
以前、石川県のある親しい方から、地元小学校の古いピアノを買い替えることになり、来年のお披露目に来演してくれないかと。
 
郷里の近くなので帰省ついでに小学校にあいさつに行くと、講堂に案内された。

グランドピアノ、足の部分など彫刻が見事でかなりの古物に違いないが、弾いてみるとまだしっかりしている。
 
そのピアノが廃棄処分と聞いて、「それは可哀そう、引き取り先があれば」と言って東京に戻った。
 
しばらくして小学校から連絡があって、「あの一言で探したところ、少し離れた町の幼稚園が引き取ってくれることになりました」と。
 
あれから10年余り、あのピアノは今も健在かなぁ。