映画と音楽49-上海リル

「上海リル」が主題曲の映画「フットライトパレード」(1933)。
主演がギャングスターのジェームス・キャグニー、夜霧渦巻く30年代上海、魔性の女、全編に流れるけだるいブルース・・・私の中でストーリーが出来上がっていった。
50代になって知人がDVDを貸してくれてやっと観ることに、いきなりオープニングからあのメロディーが流れて「よしっ!」とガッツポーズ、さあ、どんなサスペンスだろう。

 

トーキーになった映画人気が高まり、舞台レビュー衰退の危機に奮闘するのがジェームス・キャグニー演じる主人公。
<想像と少し違うがその内上海に行って悪行三昧となるだろう>
後半、劇中劇のレビューとなり舞台セットが上海の酒場
<え、そういうことなの?!>
船乗りたちが「上海リル」を歌い、キャグニーはバーカウンターの上で♪会いたくてブッダに祈った♪と歌い踊る。
存在が謎だからミステリアスだったリルが「私よ!」と登場して元気にタップダンス。
<出てくるのかーい!>
水兵たちが「上海リルマーチ」で大行進、超エネルギッシュな群舞でジャンジャカジャーン!、終わり。
<どこがけだるいブルースだ、魔性の女だ>
決して映画は悪くない、私の妄想が強すぎただけ、でも、歌に抱いたイメージとあまりにもかけ離れていた。

 

映画から離れて”けだるいブルース”イメージで弾き語るようになった。その頃出演していた赤坂のジャズバー、故人となられたマスターAさんが「高浜くんのはゆっくりで、そこがいいんだよ」と言ってくれたしゃがれ声が耳に残る。
明日に続く。