私が乗った上海―北京寝台特急の歴史は古く、1932年の映画「上海特急」"Shang-hai Express"は、列車が北京を出て上海に着くまでに起こる事件と人間模様のドラマ。
若い頃にテレビの日本語吹き替え版で見た。
妖艶な美女シャンハイリリーを演じるのはマレーネ・デートリッヒ。
列車出発シーンで北京駅が「北平」(ペイピン)と表示されている。
北京は古来地名の変遷があって近代も「京」と「平」が繰り返されたので、映画は貴重な歴史を見る面白さもある。
この時代の吹き替え映画は音楽も差し替えがあった。
シャンハイリリーが蓄音機でレコードをかける、「夜のブルース」”Blues In The Night”が流れる・・・まてよ、この映画1932年だろ、この曲って、と調べたら1941年の曲だった。
ハンフリー・ボガートとローレン・バコールの映画「脱出」"To Have And Have Not"は1944年の映画。
作曲家ホーギー・カーマイケルがピアニスト役で出ていて、ソロ演奏にセリフが重なるシーンがセロニアス・モンク演奏の「煙が目に染みる」に差し替え、これ1957年の録音だと思う。
カーマイケルが作曲した曲も披露されていて、こちらは吹き替えでない。
本人弾き語る”Hong Kong Blues”、ローレン・バコール歌う、”How Little we know”。
多分、これらの時代は音声と音楽が同一トラックに収録されていて音楽も差し替えなくてはならず、それらしい音源探しに苦労されたことと思う。
それでクレームも来なかったと思うし、私も気に映画として楽しんで来た。