映画と音楽47-上海夜霧

7歳違いの兄が石原裕次郎さんのレコード「夜霧のブルース」をよく聴いていた。
小学生の私には歌詞の背景が理解出来なかったが、「夢のスマロかホンキュの街か」の歌詞に謎めいた興味を抱いた・・・この時点でかなりズレた子供だった。
その後オリジナルはディック・ミネさんが歌ったと知り、演奏家駆け出しの頃に御本人のこの歌の伴奏をした時は感激した・・・と、ズレっぱなしだった。

 

子供の謎がオールド上海のことと知り歴史本を読んだ。
スマロ(四馬路)-旧上海の大通りで一馬路から順に、四馬路は一番の繁華街でキャバレーなど建ち並ぶ不夜城だった。現在の名称は「福州路」。
ホンキュ(虹口:中国標準語はホンコウ)-当時の日本人町でスマロまで徒歩でも行けた、現在も地名そのまま。

50代、インターネットで歌が登場した映画をユーチューブで見つけた。

 

「地獄の顔」(1947)
戦時下の上海、キャバレーで若きディック・ミネさんが「夜霧のブルース」を歌っている。店に出入りする無頼漢(水島道太郎)は争いで大怪我を負い逃げ込んだ教会で助けられる。
戦後帰国して更生し長崎で平穏に暮らしているが、昔仲間が訪れ止む無く抗争に巻き込まれ銃弾に倒れる。
ラストシーンが光に包まれ天に召される演出、調べると敗戦の反動による一時的なキリスト教ブームがあったそうだ。

f:id:nemannekenarui1955:20210121054026j:plain

映画とは関係ないがイメージをイラストに描いてみた。

2000年に初めて上海に行き、ワイタン(外灘)に建ち並ぶ洋館夜景に子供時分に抱いた謎が一気に現実となった気がした。