本日「俺のフレンチ横浜」、クラリネット谷口英治さんとデュオで、ランチと夕方の出演。
映画と音楽 マティーニの思い出
20歳になる頃イアン・フレミングの007シリーズ原作を立て続けに読んだ。
英国人のボンドが飛行機でバーボンソーダを飲むのが意外で、バーで「マティーニをウオッカでシェイクしてくれ」のおきまりを知った。
酒を覚えたばかりの私はバーボンソーダは理解出来たが、マティーニの何たるかを知りたくてカクテル本を買った。
『ジンをベースにホワイトベルモット少々、シェイカーは使わずステア(攪拌)』
通常レシピをひねったボンド流を知って映画の楽しみが増えた。
30歳過ぎる頃に観た映画「麗しのサブリナ」"Saburina"(1954)、ビリー・ワイルダー監督、オードリー・ヘップバーン主演。
ダンス・シーンに登場した曲「ロマンティックじゃない?」"Isn't It Romantic"、30年代にリチャード・ロジャース作曲、ロレンツ・ハート作詞の粋な小唄、それと、サブリナがフランス留学中の「ラヴィアンローズ」も印象的だった。
共演のハンフリー・ボガードは実直な会社経営者で、社長室でマティーニを作って飲むシーンがいかにもアメリカンだった。
出演先でマティーニを飲んだことはあったが、この映画を観てジンやベルモットなど材料を自宅に揃え、ボンド・レシピも試したがやはり通常のジンベースが気に入った。
カフェバーブーム全盛の頃、通りかかった若向けの店に寄ってマティーニを頼んだが、しまりのない味でシンプルなレシピにも技があることを知った。
演奏ツアーで札幌の老舗ホテルに宿泊、バーのマティーニはさすがにきりっとしまった味わいで、おかわり。
気分はすっかりボギーかボンド、部屋に戻って鏡に映った己の姿に興ざめした。
50代以降酒量も減りマティーニも他のカクテルも長くご無沙汰している。