映画と音楽71-ヴァレンタイン

昨日、「俺のフレンチ横浜」にクラリネット谷口英治さんと出演、"My Funny Valentine"をミディアムテンポのスイングで演奏。

スローだと暗い感じに聴こえる曲で、クリスマスと違ってシーズンソングとして聴こえてこない。
歌詞は「あなたは芸術的美形でもなく洒落たことも言わない、でも、そのままでいて、私にとってはいつもヴァレンタインデーだから」、あばたもえくぼの愛情一杯。

 

立場が逆の自虐ソングが"She's Funny That Way"、「俺はいい男でもない、お金持ちでもない、こんな俺に夢中な彼女って変わってる」1928年に書かれた。

この歌が映画「郵便配達は二度ベルを鳴らす」"The Postman Always Rings Twice"(1948)に使われた。
夫婦で経営する食堂、旦那はデップリ中年だが妻は若くて美人(ラナ・ターナー)、客で立ち寄った若い男を従業員として雇う。
仕事を終えた旦那が一杯飲みながらギターを弾いて"She's Funny That Way"を歌う。
やがて妻は若い男と関係をもち夫殺人を計画、というサスペンス映画。

ラナ・ターナーはこの映画で知るのみだが、クリネット奏者アーティー・ショーとの結婚歴がある。

 

この歌を女性が歌う場合"He's Funny That Way"で、水森亜土さんはいつも「『彼はその道で変だ』を歌います」とトークしていた。
少女時代をハワイ留学で過ごした方だから誤訳ではなく旺盛なおとぼけ精神。
"Honey Suckle Rose"もよく歌ったが、HoneyのNは上歯に舌先を押し付けて発音するので「ハンニー」のように、アニタ・オデイは繰り返して「ハンニーハンニー」と聴こえる。
これを亜土さん「ハンニーハンニー、はんにん逮捕」と歌って、私は伴奏しながら吹き出したことがあった。
全くのアドリブだったようで、何年か後にご本人に言ったら覚えていなかった。