日本のスタンダード

昨日、銀座「俺のイタリアンJAZZ」にクラリネットの谷口英治さんとデュオで出演。
谷口さんのアレンジで、日本の唱歌「花」(春のうら~らの~)と「朧月夜」を演奏。

控室に戻ると、付近の系列店出演ピアニスト後藤さんがいらした。

谷口さん、昔の唱歌は文語体で難しい歌詞が多く、子供は訳分からなくて歌う、それを後に理解した時に感心し日本語の素晴らしさを知る、そこが良いと。

私「唱歌に限らず昔は流行歌でも、『死んだはずだよお富さん』とか訳分からないまま歌ってた」
谷口「『死んだはずだよ』ってフレーズは僕も聞いたことはあるけど、意味不明ですよね」

私「うん、これ歌舞伎の筋を知らないと理解できないんだ。『粋な黒塀、見越しの松に、仇な姿の洗い髪』、その後に『死んだはずだよ』と来るんだ」
谷口「死んだはずの前は一言も理解できません」

私「これはつまり・・・」と、お富さんのあらすじと言葉の意味を説明すると、谷口さんと後藤さん、「へぇー!」。

谷口さん「そういうフレーズって、他にも例えば『寿司食いねえ』も元は知らない」

私「清水の次郎長ってのは聞いたことある?(二人頷く)、で、その子分の森の石松ってのが、親分の代理で刀を納めに讃岐へ渡る船で・・・」と、またひとくさり。

ジャズの仕事で時代劇の解説をするとは思ってもみなかった。
谷口さん、「昔は誰もが知る日本のスタンダードだったのが、今は理解できないってこと考えると、ジャズって今もこうして我々が演奏してることってありがたいですね」
確かに。

またも遠ざかる昭和の話題を書いてしまったが、あと3時間余りで元号発表。