オータムセレナーデ引用

昨日、銀座「俺のイタリアンJAZZ」にクラリネット谷口英治さんと出演。
5時台は空席もあったが、7時過ぎて2回目以降は満席で賑わった。

谷口さんが"Autumn Serenade"の譜面を持参してくれて、ゆったりしたテンポで演奏。

この曲、「ほとんどの演奏家が知らないのに、ほとんどの演奏家は知っている」と、まるでなぞなぞだ。
これはつまり、曲の認知度は低いが、冒頭のメロディーだけがアドリブの「引用フレーズ」として使われるからだ。

「引用フレーズ」というのは、アドリブのコード進行が合う部分に、ジャズやクラシックなどのワンフレーズを引用して演奏することで、言葉の駄洒落にも似た面白さ。

アドリブ演奏を習得する過程において、名手による録音を聴いてコピーするが、多くの演奏を聞きこんでいくと、誰もが共通して使う引用フレーズも覚えて使うようになる。

それが例えば、ジャズの「ワークソング」とか、クラシックの「カルメン」とか、誰もが分かるフレーズもあるが、引用フレーズとして知っていても原曲は知らないということもままある。

この"Autumn Serenade"もそのひとつで、私も若手の頃から使ってきたが、こういう曲の冒頭だと知ったのは最近で、「あ、これだったのか!」。

谷口さんも知った時は同じ言葉が出たそうだ。

ジャズの専門的な話になってしまったが、言い替えれば、当たり前に使っている日本語のワンフレーズの語源を知った時の心境のような。
なので、原曲を知って「へー!」と感心しても、演奏しないと曲自体は忘れることもある。

10月22日訂正 曲タイトルを間違えておりました。
 「オータムセレナーデ」 「オータムノクターン」、すみません!