2002年のアジアンクルーズ乗船中に、北村さんとアレンジを組み立てた「チャタヌガーチューチュー」、最初に覚えたのは少年時代にテレビで観た映画「グレン・ミラー物語」だった。
映画では第二次世界大戦中の欧州慰問演奏で、ジェームス・スチュアート演じるグレン・ミラーと楽団、女性歌手フランセス・ラングフォードとモダネアーズのコーラス、たまらなく楽しくて好きになった。
ラストシーンでグレンが霧の夜にドーバー海峡を飛行中消息を絶つのは実話で、この映画が製作された1954年は既に故人だった。
生前のグレン・ミラーと楽団が出演した映画が1941年「銀嶺セレナーデ」"Sun valley serenade"、この中で「チャタヌガーチューチュー」が発表されミリオンセラーになった。
楽団は雪山のリゾートホテルで仕事、リハーサルでこの曲が始まりテナーサックスのテックス・ベネキーの歌にモダネアーズのコーラスがからむ。
曲のエンディングから音楽は切れずにカメラが移動、舞台の背後に列車のカキワリ、黒人男性二人と女性一人が歌い踊るシーンになる。
男性二人はニコラス兄弟(The Nicholas Brothers)でアクロバティックなダンスで当時多くの映画に出演。
女性はドロシー・ダンドリッジ、この時20歳前、その後、兄弟のどちらかと結婚し女優としていくつか作品に出たが若くして亡くなった。
映画の流れからすると突然舞台風になって異質にも感じるが、白人のグレンミラー楽団に比べて黒人3人の歌がアドリブ性が強く、米国のジャズの深みを感じる。
モノクロ作品だがリゾートホテルも音楽もまんま今でも楽しめそう、日本では太平洋戦争突入の年で公開されたのは終戦直後、焼け跡の時代にこの映像や音楽をどう感じただろう。