泣かせるシカケ

グレン・ミラー出演の映画「銀嶺セレナーデ」に登場する曲で「チャタヌガーチューチュー」の他に「アイノウホワイ」"I Know Why And So Do You"もあった。

♪12月なのにこまどりが鳴く、天井に星が見える、雨でも虹が見える、何故だか君は分かるよね♪ 

決して幻聴幻覚の歌ではなくて、恋に夢中の甘い甘いラブソング。

 

グレン没後の1954年に制作された映画「グレンミラー物語」では、リハーサルでこの曲を演奏していて、トランペッターが譜面台に楽器をぶつけ唇を痛めて吹けなくなる、急遽アレンジをクラリネット・アンサンブルに変更し特有のミラーサウンドが完成するというエピソード。

「ペンシルベニヤ6-5000」は奥さんの実家の電話番号とか、これらは映画用に作った話で実際は違ったようだけど、いちいち心揺さぶられて良い。

主演ジェームス・スチュアート、奥さん役ジューン・アリソン、他の映画でも夫婦を演じているから人気コンビだったんだろう。

 

この2年後に「ベニーグッドマン物語」(1956年)が同じユニバーサルで制作されて、主演はスティーブ・アレンとドナ・リード

こちらも「メモリーズオブユー」を演奏するシーンで、客席の母親がベニーの恋人アリスに「息子は今、あなたに愛の告白をしてますよ」と、これも多分作り話とは思うけど、その前に母が結婚に反対してここに至るから泣けるシーン。

この時代、他にも「五つの銅貨」「愛情物語」「ジョルスン物語」「ヒットパレード」など、ジャズ映画が多く製作されていて、どの作品にも泣かせるシカケが音楽と相まってたまらない。