台北ステージ2-司会者

Sさんの会社は印刷関連で世界各国と取引があり、中でも台湾に毎月出張していた。

「音楽関連の知人もいなくて手探りだけど、台北でライブ出来ないか当たってみますよ」と連絡頂いてから3か月ほど経ったある日、「来年(2014年)の春で決まりそうだ」。

実現に一歩前進で喜んだが、Sさんとその周囲に音楽関係者がいないので、私が思い付く確認事項を書類リストにした。

国外で出演料を伴う演奏の法的認可と著作権、会場の大きさに応じた音響機材と楽器の手配など。

リストを手にSさんは台北に出張、現地社員の協力も得て確認事項を順にクリヤーして連絡をくれた。

「会場は200~300人のホールで、集客も現地の友人が引き受けてくれた」

外堀は埋まった。後は私のステージ構成で、司会者はと聞くと「オフィスの中国語が話せる社員に頼むつもり」。

 

曲紹介「次の曲は1940年代、アメリカの楽団グレンミラー楽団が演奏した〇〇です」は練習すれば私にも話せるが、それだけではステージトークとはいえない。

あいさつから始まって演奏、メンバー紹介と自己紹介、ちょっとした話題ありジョークあり。

これを社員さんにお願いするのは難しいだろう、ならば私が、いや、そら無理、元々初心者的レベルだし話さないから言葉も忘れかけているし、自己能力の何倍もなんてことは到底・・・でも・・・。

中国語でトークする自分を想像して顔が緩んだすぐ後に、お客様が意味不明でしらける風景にぞっとして首を振った。

語学スクールの案内も見たが、以前少し話せたという思い上がりもあってためらった。

ちょうどそんな頃、市報に「中国語サークル参加者募集」に目が留まった。

台北公演までまだ時間はある、行ってみるか。