芸事21-芸能界とジャズ界

芸能界では先輩に対して「先生」と呼ぶことが多いが、ジャズ界ではその習慣はない。

若手の頃、ホステスがいる店ではピアニストを「先生」と呼ぶことはあったし、今でも師弟関係で弟子から師匠に対して呼ぶことはあっても、例えば北村英治さんのことを私めた後輩が「先生」とは言わないのが普通。

 

以前、タレントで歌手のロザンナさんの仕事を頂いた時期があった。

ある地方のホテルでトークショーと歌、私はカンツォーネなどの伴奏でショーが終わって宿泊。

翌朝、ロザンナさんとマネージャーと私の3人で朝食をとっていると「ロザンナちゃん」と、声の主はかしまし娘正司歌江さんだった。

ロザンナさんすっくと椅子から立ち上がり、「先生、ご無沙汰しております!」と、歌江さん「お元気そうね」、「はい、元気でおります」と直立不動、二言三言交わして歌江さん出て行かれた。

その間、私は立っていいものやらどうしていいものやら、子供の頃から知ってる有名な方だが面識なく、ロザンナさんの直立不動に芸能界の縦社会を観た。

 

北村英治さんと新幹線に乗り新大阪駅で降りた時に「北村先生!」の声、速足で近づいて来たのは演歌歌手の角川博さんだった。

北村さん「おう、久しぶり、元気でやってる?」、角川さんはきりっと背筋伸ばし「はいっ、元気でやっております!」、北村さん「頑張ってね」、角川さん「はいっ、先生もお元気で!」と別れた。

改札に向かいながら、有名演歌歌手が北村さんを「先生」と呼ぶのが不思議で「どういうご関係で?」と聞いた。

続く。

 

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